食品会社の社長にとって一番の関心は「バイヤーは今どんな商品を求めているのか」という点ではないでしょうか。
売れる商品をつくることはもちろん大切ですが、バイヤーの目線から外れた商品は、いくら手間をかけても採用につながりません。この記事では、現場で実際にバイヤーが探している商品像を整理し、社長がチェックすべきポイントをまとめます。
バイヤーが共通して求める条件
まず、食品バイヤーが商品を評価するときに共通して重視するのは次の条件です。
1. 即戦力になる商品力
売場に置いた瞬間からお客様に手に取ってもらえる要素があるかどうか。味や見た目だけではなく、規格や賞味期限など実務的な条件が整っているかが大切です。商品がいくら良くても、流通現場で扱いづらいと採用は難しくなります。
2. 差別化できる特徴
他社の商品と比べて「ここが違う」と言える要素を持つかどうか。産地のこだわり、製法の独自性、ストーリー性など、バイヤーが提案資料に書きやすい特徴があると有利です。
3. 安定供給の体制
小ロットからスタートできても、採用が決まれば出荷量は増えます。その時に「対応できません」とならない体制づくりが必要です。バイヤーは安定供給を強く意識しており、継続性が見えない商品は扱いを控える傾向があります。
4. 適正な価格バランス
安さを求めるのではなく、品質と価格のバランスがとれているかが判断基準です。ターゲット客層が納得できる価格設定かどうかを意識してください。
今、注目されている商品カテゴリー
次に、現場でバイヤーが積極的に探している傾向を紹介します。
健康志向・ヘルシーライン
低糖質、減塩、オーガニックといった健康を意識した商品は依然として人気があります。特に中高年層向けに「健康に良い」という明確なメッセージを持った商品は強い関心を集めます。
環境・サステナブル対応
無添加、エコ包装、フードロス削減につながる商品など、環境意識の高まりに応じたラインは評価が高まっています。企業の社会的責任が注目される中、商品選定にもその視点が加わっています。
ご当地感・ストーリー性
観光や地域振興と結びつく商品も注目度が高いです。地元の食材、伝統的な製法、歴史のあるストーリーなどは、売場での訴求力が強くなります。単なる食品ではなく「地域を感じる商品」が選ばれやすいのです。
簡便性・時短対応
レンジアップ、個包装、持ち帰りやすいパッケージなど、手軽さが価値になる時代です。共働き世帯や単身世帯が増える中で「簡単に食べられる」ことは大きな強みになります。
ギフト対応商品
年末年始やお中元・お歳暮など季節需要に対応できる商品は常に探されています。小ロットから対応できるギフトパッケージがあると、採用につながりやすくなります。
バイヤーに評価される社長の姿勢
商品そのものだけでなく、商談の場での社長の姿勢も採用に大きく影響します。
- 質問に即答できる:原材料の産地、年間の製造数量、卸価格など、基本的な質問に迷わず答えられること。
- サンプル提出が早い:商談後すぐに試食品や見本を送れる体制は、信頼感につながります。
- 改善要望に柔軟:「規格を少し調整できるか」「箱のサイズを変えられるか」といったリクエストに対応できると次のステップにつながります。
バイヤーは商品以上に「この社長と取引したいか」を見ています。誠実さとスピード感は採用の大きな要素です。
まとめ|自社商品をバイヤー視点で見直す
バイヤーは常に新しい商品を探しています。ただし「新しさ」だけでは採用に至りません。
差別化できる特徴、安定供給、即商談対応力という3つの条件を満たすことが、バイヤーに選ばれる近道です。
食品会社の社長は、自社の商品を一度バイヤーの視点でチェックしてみてください。
「今の強みは何か」「改良すべき点は何か」を整理することが、採用につながる最初の一歩になります。