毎年、同じような展示会に出かけ、同じような商品と向き合う。
どこかで「また今年もこれか」と思ってしまう――
そんな気分になったこと、ありませんか?
バイヤーという仕事は、売れ筋を読む力も大事ですが、
意外と「気分の切り替え」がむずかしい職種だと思っています。
あるとき、地方の展示会で偶然見つけた、
ごく普通のパッケージの、見た目に派手さのない加工食品。
正直、最初はまったく期待していませんでした。
でも話を聞いてみると、
商品の背景には「地元の課題」「作り手の思い」がしっかりあって、
販路を広げるための準備も着実にしている。
その姿勢に、気づけばこちらが背中を押されるような気持ちになっていました。
結果、その商品は大きくヒットしたわけではありませんが、
お客様から「これはどこで仕入れたの?」という声を何度もいただきました。
仕入れに正解はないですが、
「数字だけでは動かない」選択も、
たまには必要なのかもしれません。